平成15年9月の改正地方自治法の施行により、地方自治体の「公の施設」の管理運営に指定管理者制度が導入され、これまで、委託先が市の出資法人や公共的団体等に限定されていた施設の管理運営について、民間事業者も含めた幅広い団体に委ねることが可能となりました。
「公の施設」とは、地方自治法第244条第1項において、「住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設」と定義されており、おおむね次の要件を満たすものと考えられています。
- 施設を設置した普通地方公共団体の住民の利用に供するものであること。
- 住民の福祉を増進する目的をもって普通地方公共団体により設置された物的施設であること。
- 法律又は条例の規定により設置されているものであること。
具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 教育・文化施設…公民館、図書館など
- 体育施設…体育館、市民グランドなど
- 福祉施設…老人福祉センター、保育所など
- コミュニティ施設…集会所など
- その他…公園、市営住宅など
地方自治法改正による指定管理者制度の導入
指定管理者制度は、平成15年9月2日、改正地方自治法が施行され、地方自治体の「公の施設」の管理に関する制度が改正されたことによって創設された制度です。
これまでの「公の施設」の管理運営主体は、公共性の確保の観点から、市の出資法人や公共的団体等に限られていました(「管理委託制度」)が、この改正によって、民間事業者やNPO法人、ボランティア団体等幅広い団体にも管理運営を委ねることができるようになり(「指定管理者制度」)、「公の施設」の管理運営に民間の能力を積極的に導入していくことが可能となりました。
制度創設の目的
指定管理者制度とは、多様化する住民ニーズに、より効果的、効率的に対応するため、「公の施設」の管理に民間の能力を活用しつつ、住民サービスの向上を図るとともに、経費の節減等を図ることを目的とするものです。
項目 | 指定管理者制度 | 管理委託制度 |
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法的性質 | 行政処分 | 委託契約 |
指定管理者(管理受託者)になることができる団体 | 民間事業者、NPOその他の団体なども可 | 普通地方公共団体の出資法人・公共団体・公共的団体のみ |
指定管理者(管理受託者)を選ぶ手続 | 条例で定める | 地方自治法に定める契約手続による |
公の施設の使用許可等 | 使用許可、入場制限、退去命令ができる | できない(普通地方公共団体が行う) |
管理の基準及び業務の範囲の規定方法 | 条例と協定で定める | 契約で定める |
指定管理者(管理受託者)に管理を行わせる期間 | 施設ごとに議会の議決を経て協定で定める | 施設ごとに契約で定める(年度更新) |
指定管理者(管理受託者)を決める際の議会の議決 | 必要 | 不要 |
事業報告 | 年度ごとに事業報告書を提出 | 年度ごとに業務完了届を提出 |
利用料金制度(※) | 条例に定めることにより導入できる | 条例に定めることにより導入できる |
指定管理者(管理受託者)による管理に不都合がある場合の措置 | 指定の取消し、管理業務の停止命令 | 債務不履行に基づく契約の解除など |
(※)利用料金制度…公の施設を使用する際に市民の方が支払う料金を、地方公共団体ではなく、指定管理者(管理受託者)の収入とすることができる制度(地方自治法第244条の2第8項)
設置条例の制定・改正 | <規定事項> 指定管理者による管理 管理の基準(開館時間、休館日、利用の制限など) 業務の範囲(施設の維持管理、事業の内容、使用の承認など) 利用料金に関する事項 |
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選定委員会の設置 | 各部において選定委員会を設置 |
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指定管理者の募集 | ホームページ、広報誌などによる募集施設、募集期間等の周知 所管課において募集要項の配付 (施設の概要、申込資格、選定基準など) |
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申込み | 申込書類(資格証明書、業務計画書、収支計画書など)の確認 |
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選定 | 選定委員会において選定基準に照らし最も適当な団体を指定 管理候補者として選定 |
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指定議案等の議決 | 指定管理者となるべき団体の名称、指定期間などに関する議会の議決 |
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指定の通知・告示・協定の締結 | 相手方に指定管理者として指定する旨を文書で通知 指定管理者の指定について市民に対して告示 指定管理者と管理の細目的事項等について協定を締結 |
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管理業務の開始 | |
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事業報告・業務の調査等 | 事業報告書の提出 |
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指定期間の満了 | 指定管理者による管理を継続する場合は、原則として再度指定手続を実施 |