○美馬市議会議員政治倫理条例
令和5年12月19日
条例第42号
(目的)
第1条 この条例は、美馬市議会議員(以下「議員」という。)が、その地位が市民の厳粛な信託によるものであることを認識し、市民全体の奉仕者として人格と倫理の向上に努め、及び常に良心に従って、誠実かつ公平にその職務を遂行するため、自己の地位による影響を不正に行使し、又は自己若しくは特定の者の利益を図ることのないよう必要な措置を定めることにより、市政に対する市民の信頼に応え、清浄で民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。
(議員の責務)
第2条 議員は、市民全体の代表者として、自らの役割を深く自覚し、市民の信頼に値するより高い倫理的義務に徹し、その使命の達成に努めるものとする。
2 議員は、第5条各号に掲げる事項(以下「政治倫理基準」という。)に違反する事実があるとの疑惑をもたれ、政治的又は道義的な批判を受けたときは、自ら誠実な態度をもって当該疑惑の解明に当たるとともに、その責任を明らかにするものとする。
3 議員は、この条例の趣旨を理解し、適切な運用に努めるものとする。
(市民の役割)
第3条 市民は、自らが公共の利益を実現する市政の担い手であるとの自覚を持ち、積極的に市政に関わるよう努めるものとする。
2 市民は、議員に対し、その権限又は地位による影響力を不正に行使させる働きかけを行ってはならない。
(市長等の責務)
第4条 市長その他の執行機関(以下「市長等」という。)は、議員が政治倫理基準に違反していると認識した場合は、美馬市議会議長(以下「議長」という。)に報告しなければならない。
(政治倫理基準)
第5条 議員は、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 議員の職務に関して不正の疑念を持たれるおそれのある行為をしないこと。
(2) 議員の地位を利用した金品等の授受をしないこと。
(3) 市又は市が資本金その他これに準ずるものを出資し、若しくは市と密接な関係があると認められる法人(以下「市等」という。)が行う許可、認可、指定等又は請負その他の契約に関し、特定の者への有利又は不利な取計いをしないこと。
(4) 市等の職員の公正な職務の遂行を妨げ、又はその権限若しくは地位による影響力を不正に行使するよう働きかけないこと。
(5) 市等の職員の人事に介入しないこと。
(6) ハラスメントその他人権侵害のおそれのある行為をしないこと。
(7) 公正な議員活動を妨げる要求に屈しないこと。
(8) 飲食物の供与等社会通念上疑念をもたれるおそれのある行為をしないこと。
(9) 職務上知り得た情報を不正に利用しないこと。
(宣誓)
第6条 議員は、この条例を遵守する旨の宣誓をしなければならない。
2 前項の宣誓は、宣誓書を議長に提出することにより行うものとする。
(議員による要請に関する記録)
第7条 議長は、議員が行う市長等の職員に対する要請に関し、日時、要請内容、対応等を記録した文書を作成するよう市長等に求めるものとする。
(就業等の報告義務)
第8条 自ら事業を営み、又は法人その他の団体(以下「法人等」という。)の取締役、執行役、監査役若しくはこれらに準ずる職(以下「取締役等」という。)に就いている議員は、速やかに議長(当該議員が議長である場合にあっては、副議長)に報告しなければならない。
2 前項の規定は、議員が新たに自ら事業を営むこととなったとき、又は新たに法人等の取締役等に就くこととなったときについて準用する。
(審査の請求)
第9条 市民又は議員は、議員が政治倫理基準に違反した疑いがあるときは、当該議員による政治倫理基準の違反の存否について、審査を請求することができる。
2 前項に規定する議員による審査の請求は、議員定数の4分の1以上の議員の連署をもって、その代表者(以下「議員による審査請求の代表者」という。)が行う。
3 第1項に規定する市民による審査の請求は、公職選挙法(昭和25年法律第100号)第22条の規定による選挙人名簿の登録が行われた日において選挙人名簿に登録されている者の総数の100分の1以上の者の連署をもって、その代表者(以下「市民による審査請求の代表者」という。)が行う。この場合において、連署に係る署名は、当該審査を請求した日前1月以内に行われたものでなければならない。
4 市民による審査請求の代表者又は議員による審査請求の代表者(以下「代表者」という。)は、審査請求書及び政治倫理基準の違反に関する証拠を、議長に提出しなければならない。
5 議長は、市民による審査請求の代表者から審査請求書の提出があったときは、直ちに美馬市選挙管理委員会(以下「選挙管理委員会」という。)に対し、審査請求書に署名した者が選挙人登録名簿に登録された者であることの確認を求めるものとする。
9 議長は、前項の規定により審査請求書を却下したときは、その理由を付して、その旨を市民による審査請求の代表者に通知するものとする。
2 審査の請求の対象となった議員(以下「審査対象議員」という。)が議会運営委員会に所属する議員であるときは、当該議員は、前項の規定による議会運営委員会の審査に加わることができない。
3 議会運営委員会は、第1項の規定による審査を終えたときは、その審査結果を議長に報告するものとする。
4 議長は、前項の審査結果を代表者に通知するものとする。
(審査会の設置)
第11条 議長は、前条の規定による審査の結果、審査請求が議員による政治倫理基準の違反の存否に係るものであると認めたときは、政治倫理基準の違反の存否を審査するため、美馬市議会議員政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を設置するものとする。
2 審査会は委員8人をもって組織し、議長が議員の中から公正を期して選定する。
3 審査会に委員長及び副委員長を置き、委員の互選により定める。
4 委員長は会議を招集し、及び主宰し、副委員長は委員長に事故あるときに委員長の職務を行う。
5 審査会は、委員の半数以上の出席がなければ、会議を開くことができない。
6 委員の任期は、次条第6項に規定する報告の日までとする。
(審査会の審査)
第12条 審査会は、政治倫理基準の違反の存否について審査する。
2 前項に規定するもののほか、審査会は、政治倫理基準の違反が政治的又は道義的に重大であると認めるときは、議員辞職、議会における役職の辞任、出席自粛等の勧告をすることができる。
3 審査会は、前項の審査を行うため必要があると認めるときは、審査対象議員その他の者から意見若しくは事情を聴取し、又は資料の提出を求めることができる。
4 審査対象議員は、審査会に対し必要な資料を提出し、又は審査会に出席して意見を述べることができる。
5 審査会は、審査対象議員から審査会において弁明したい旨求められたときは、その機会を保障しなければならない。
6 審査会は、その設置の日から起算して60日以内にその審査結果を議長に報告しなければならない。
7 審査会の議事は、出席した委員(委員長(副委員長が委員長の職務を行う場合にあっては、副委員長。以下この項において同じ。)を除く。)の過半数で決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。
9 審査会の会議は、公開する。ただし、出席した委員の3分の2以上の多数で議決したときは、これを公開しないことができる。
(審査会の記録等)
第13条 審査会は、審査を終了したときは、その会議の記録を作成するものとする。
2 前項の審査会の記録は、議長に提出する。
3 審査会は、審査の結果、審査対象議員の名誉を回復することが必要であると認めるときは、必要な措置を講ずるよう議長に求めるものとする。
(守秘義務)
第14条 審査会の委員及び議会運営委員会の委員は、職務上知り得た秘密を他に漏らしてはならない。委員の職を退いた後も、同様とする。
(審査結果の公表等)
第15条 議長は、審査会から審査結果の報告を受けたときは、その審査結果を議会運営委員会において報告するものとする。
3 審査対象議員は、前項に規定する通知があった日から14日以内に限り、弁明書を議長に提出することができる。
(審査結果の尊重等)
第16条 議長は、審査会から報告を受けた審査結果を尊重し、政治倫理基準に違反したと認められる議員に対して、議会の名誉及び品位を守り、市民の信頼を回復するために、必要な措置を講ずるよう求めるものとする。
(刑確定後の措置)
第17条 議員が、有罪判決の宣告を受け、その刑が確定したときは、地方自治法(昭和22年法律第67号)第127条第1項の規定により失職する場合(公職選挙法第11条第1項の規定に該当することにより被選挙権を失う場合に限る。)を除き、議会は、議員辞職の勧告その他議会の名誉及び品位を守り、市民の信頼を回復するために必要な措置を講ずるものとする。
(市との請負契約等に関する遵守事項)
第18条 議員、議員の配偶者若しくは2親等以内若しくは同居の親族又は議員が役員をしている法人等若しくは議員が実質的に経営に携わる法人等は、市が行う工事等の請負契約、業務委託契約及び物品納入契約の締結を行わないよう努めるものとする。
2 議員は、市から直接活動又は運営に対する補助又は助成を受けている団体の代表者に就任しないよう努めるものとする。
(議長職務の代行)
第19条 議長が審査対象議員となったときは副議長が、議長及び副議長がともに審査対象議員となったときは議会運営委員会委員長が、この条例に規定する議長の職務を行う。
(委任)
第20条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、別に定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。