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旧長岡家住宅

長岡家外観

内観 (入り口,土間、ナカノマ)

オモテ

経済の発展、生活様式の近代化は住居の変革として迫ってきています。伝統的民家の消滅に対処して国は各県に残存民家の緊急調査を指示、徳島県では1973(昭和48)年に実施しました。民家とは社寺役所などを除いて、庶民の生活に密着した農漁民、職人、商人などの住宅を言います。この調査の結果、県内では国指定の重要文化財の価値のあるものが合計で8件ありました。その8件の中の1つが旧長岡家の住宅です。純農家(山林労働やタバコ栽培が主で、耕地農業はほとんどありません。)で、小規模で労働力中心の生活が営まれていた点で代表的な民家と言えましょう。
旧長岡家は、旧脇町の西大谷地区にありましたが、敷地内で新居に建て替えるため、取り壊しの準備中に緊急調査があり、その結果、町への譲渡が決まり、解体移築復元が行われました。同家が国の重要文化財の指定を受けたのは、これに先立つ1976(昭和51)年5月20日でした。
今から260余年前の1735(享保20)年に建築(棟札で確認)されて以来、これまで4回、一部の手直しや改造が行われましたが、木材などは当初のものがよく保存されています。寄せ棟造りカヤぶき、間口が6間(11.7メートル)、奥行きが3間半(6.7メートル)の直家造りです。東向きだったのを移築時に西向きに変更しました。入り口は正面だけで外壁は土壁で、杉皮や押竹、板などは使われていません。雨の少ない香川県地方に多く見られるもので、阿讃山脈の南側に位置した事による特色だと考えられます。三方壁でカヤぶきは、夏は涼しく、冬暖かく、生活に便利だったのでしょう。間取りは、土間と寝間で、寝間はナカノマ、オモテと分かれ、就寝・食事の最小限の条件を備えており、農家の代表的建築と言えます。
この建物は、建築学上だけでなく、民俗学の立場からも興味深いものがあります。2、3の例をあげてみます。
  1. 畳は常時使っておらず、必要な時に出して使っていました。現代は畳を使うのが常識で、床板は荒削りでよいのですが、長岡家では床板は厚くて丈夫なもので、かんながかけられています。
  2. 押し入れがありません。長持ちやたんすは使っていましたが、夜具を納める場所はありませんでした。
  3. いろりが2か所あります。炊事、乾燥、暖房、照明に絶対必要でした。また火種を絶やさない方法として燃やし続けなければなりませんでした。日常生活はこの場所を中心に行われていました。
  4. 民家に棟札が保存されているのは、県内の特色で、他県にはあまり見られません。
旧長岡家は、建物としてだけでなく、庶民の生活の歴史をも宿し、いろいろな事を教えてくれます。末長く保存しなければなりません。

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