○美馬市景観条例
平成26年7月11日
条例第32号
目次
第1章 総則(第1条―第7条)
第2章 景観形成施策(第8条―第26条)
第1節 景観計画(第8条・第9条)
第2節 景観計画区域内における行為の制限等(第10条―第19条)
第3節 景観重要建造物等(第20条―第26条)
第3章 伝統的建造物群保存地区(第27条―第35条)
第4章 市民の景観形成活動(第36条・第37条)
第5章 表彰、助成等(第38条・第39条)
第6章 美馬市景観審議会(第40条・第41条)
第7章 雑則(第42条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、本市における良好な景観の形成に関する基本的な事項及び景観法(平成16年法律第110号。以下「法」という。)の施行に関し必要な事項を定めることにより、自然を生かしたゆとりと潤いのある豊かな生活環境の創造を図り、もって、市民生活の向上並びに地域社会の健全な発展に寄与することを目的とする。
(1) 景観まちづくり 建築物、工作物及び伝統的建造物群並びにみどり豊かな自然環境を生かしたゆとりと潤いのあるまちづくりをいう。
(2) 建築物 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物をいう。
(3) 工作物 土地又は建築物に定着し、又は継続して設置される物のうち、建築物以外のもので、規則で定めるものをいう。
(市の責務)
第3条 市は、良好な景観の形成を図るため、基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。
2 市は、前項の施策の策定及び実施に当たっては、市民及び事業者の意見が十分に反映されるよう努めなければならない。
(市民の責務)
第4条 市民は、自らが景観形成の主体であることを認識し、積極的に良好な景観の形成に寄与するよう努めなければならない。
2 市民は、市が実施する良好な景観の形成に関する施策に協力しなければならない。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、事業活動の実施に当たっては、専門的知識、経験等を活用し、積極的に良好な景観の形成に寄与するよう努めなければならない。
2 事業者は、市が実施する良好な景観の形成に関する施策に協力しなければならない。
(啓発)
第6条 市は、市民及び事業者が良好な景観の形成に寄与することができるよう景観形成に関する知識や地域に根ざした景観まちづくりの考え方の普及を図るため、啓発活動等その他必要な措置を講じなければならない。
(先導的役割)
第7条 市は、公共の用に供する施設の整備に当たっては、良好な景観形成に対し先導的役割を果たすよう努めなければならない。
第2章 景観形成施策
第1節 景観計画
(景観計画の策定)
第8条 市長は、良好な景観の形成を推進するため、法第8条第1項に規定する景観計画(以下「景観計画」という。)を定めるものとする。
第2節 景観計画区域内における行為の制限等
(重点地区)
第10条 市長は、景観計画の区域(以下「景観計画区域」という。)内において、良好な景観の形成を推進する上で特に重要であると認める区域を重点地区として指定することができる。
(景観計画との適合)
第11条 景観計画区域内において法第16条第1項各号に掲げる行為をしようとする者は、当該行為が景観計画に適合するよう努めなければならない。
(届出対象行為)
第12条 法第16条第1項第4号の条例で定める行為は、次に掲げる行為とする。
(1) 土地の開墾、土石の採取、鉱物の掘採その他の土地の形質の変更
(2) 木竹の植栽又は伐採
(3) 屋外における土石、廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第2条第1項に規定する廃棄物をいう。)、再生資源(資源の有効な利用の促進に関する法律(平成3年法律第48号)第2条第4項に規定する再生資源をいう。)その他の物件の堆積
(届出対象行為の適用除外)
第13条 国及び地方公共団体等が行う事業のための行為については、届出を要しない。この場合において、これらの事業を行う当該国又は地方公共団体等はその行為をしようとするときは、あらかじめ市長と協議しなければならない。協議した事項を変更しようとするときも、同様とする。
2 法第16条第7項第11号の条例で定める行為は、良好な景観の形成に支障を及ぼすおそれがない行為として規則で定める。
(特定届出対象行為)
第14条 法第17条第1項の条例で定める行為は、法第16条第1項第1号又は第2号の届出を要する行為とする。
(事前協議)
第15条 景観計画区域内において法第16条第1項又は第2項の規定による届出の対象となる行為をしようとする者又はその設計若しくは施工を請け負う者(以下「行為者」と総称する。)は、あらかじめ、当該行為が届出を要する行為か否か等について、市長と協議するように努めなければならない。
(助言又は指導)
第16条 市長は、前条の規定による事前協議において、良好な景観の形成を推進するために必要があると認めるときは、当該行為者に対し、必要な措置を講じるよう助言又は指導をすることができる。
(行為の完了の報告)
第17条 法第16条第1項による届出又は同条第5項の規定による通知をした者は、当該届出及び通知に係る行為を完了し、又は中止したときは、市長にその旨を報告しなければならない。
(勧告等の手続)
第18条 市長は、法第16条第3項の規定による勧告又は法第17条第1項の規定による命令等をしようとする場合において、必要があると認めるときは、審議会の意見を聴くことができる。
(公表)
第19条 市長は、法第16条第3項の規定による勧告を受けた者が正当な理由なくこれに従わないときは、規則で定めるところにより、その旨を公表することができる。
2 市長は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、当該勧告を受けた者の意見を聴くものとする。ただし、その者が正当な理由なく意見の聴取に応じないとき、又はその他意見の聴取が困難であると市長が認めるときは、この限りではない。
第3節 景観重要建造物等
(景観重要建造物及び景観重要樹木の指定)
第20条 市長は、法第19条第1項の規定に基づき景観重要建造物(以下「景観重要建造物」という。)又は法第28条第1項の規定に基づき景観重要樹木(以下「景観重要樹木」という。)の指定をしようとするときは、あらかじめ審議会の意見を聴かなければならない。
2 市長は、景観重要建造物又は景観重要樹木を指定したときは、その旨を告示するものとする。
3 前2項の規定は、景観重要建造物又は景観重要樹木の指定の解除について準用する。
(現状変更の許可の手続)
第21条 景観重要建造物において、次に掲げる行為を行おうとする者は、法第22条第1項の規定により市長の許可を受けなければならない。
(1) 景観重要建造物の増築、改築、移転若しくは除却
(2) 景観重要建造物の修繕、模様替又は色彩の変更でその外観を変更することとなるもの
2 景観重要樹木において、次に掲げる行為を行おうとする者は、法第31条第1項の規定により市長の許可を受けなければならない。
(1) 景観重要樹木の伐採又は移植
3 市長は、前2項の許可の申請があった場合において、良好な景観の保全のため必要があると認めるときは、許可に必要な条件を付することができる。
2 市長は、第21条第2項の規定に違反した者がある場合においては、法第32条第1項の規定により景観重要樹木の原状回復を命じ、又はこれに代わるべき必要な措置をとるべき旨を命じることができる。
(景観重要建造物及び景観重要樹木の管理の基準)
第25条 法第25条第2項の規定による景観重要建造物の管理の方法の基準は、次に掲げるとおりとする。
(1) 景観重要建造物に消火栓、消火器その他の消火設備を設けること。
(2) 景観重要建造物への降雨による浸水及び腐食を防止するため必要な措置を講じること。
(3) 景観重要建造物の状況について定期的に点検すること。
(4) 前3号に定めるもののほか、景観重要建造物の良好な景観の保全のために必要な措置を講じること。
2 法第33条第2項の規定による景観重要樹木の管理の方法の基準は、次のとおりとする。
(1) 景観重要樹木の病害虫を駆除するために必要な措置を講じること。
(2) 景観重要樹木に対して、必要に応じ、枝打、整枝、せん定等の措置を講じること。
(3) 景観重要樹木の状況について定期的に点検すること。
(4) 前3号に定めるもののほか、景観重要樹木の良好な景観の保全のために必要な措置を講じること。
(管理に関する命令又は勧告等)
第26条 市長は、法第26条の規定により景観重要建造物の管理が適切に行われていないと認められるとき、又は法第34条の規定により景観重要樹木の管理が適切に行われていないと認められるときは、当該景観重要建造物又は景観重要樹木の所有者又は管理者に対し、管理の方法の改善その他管理に関し必要な措置を命じ、又は勧告することができる。
第3章 伝統的建造物群保存地区
(伝統的建造物群保存地区の決定)
第27条 市長は、景観計画区域内において、伝統的建造物群及びこれと一体をなしてその価値を形成している環境を保存する必要がある地区について、文化財保護法第143条第1項の規定に基づき、都市計画で伝統的建造物群保存地区(以下「保存地区」という。)を決定することができる。
(保存計画)
第28条 美馬市教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、保存地区を決定したときは、審議会の意見を聴いて、当該保存地区の保存に関する計画(以下「保存計画」という。)を定めなければならない。
2 保存計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 保存地区の保存に関する基本計画に関する事項
(2) 保存地区内における伝統的建造物群を構成している建築物その他の工作物(以下「伝統的建造物」という。)及び伝統的建造物群と一体をなす環境を保存するため特に必要と認められる物件(以下「環境物件」という。)の決定に関する事項
(3) 建造物その他の物件の保存整備計画に関する事項
(4) 建造物及び環境物件に係る助成措置等に関する事項
(5) 保存地区の保存のため必要な管理施設及び設備並びに環境の整備等に関する事項
3 保存計画を定めたときは、これを告示しなければならない。
(現状変更の許可の手続)
第29条 保存地区内において、次に掲げる行為を行おうとする者は、あらかじめ市長及び教育委員会の許可を受けなければならない。
(1) 建築物その他の工作物の新築、増築、改築、移転又は除却
(2) 建築物その他の工作物の修繕、模様替又は色彩の変更でその外観を変更することとなるもの
(3) 宅地の造成その他の土地の形質の変更
(4) 木竹の伐採
(5) 土石類の採取
(6) 水面の埋立て又は干拓
(1) 非常災害のため必要な応急措置として行う行為
(2) 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で規則で定めるもの
3 市長及び教育委員会は、第1項の許可の申請があった場合において、保存地区の保存のため必要があると認めるときは、許可に必要な条件を付することができる。
(1) 伝統的建造物の増築若しくは改築又は修繕、模様替若しくは色彩の変更でその外観を変更することとなるものについては、それらの行為後の伝統的建造物の位置、規模、形態、意匠又は色彩が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること。
(2) 伝統的建造物の移転(同一保存地区内における当該伝統的建造物の移築も含む。以下この号において同じ。)については、移転後の伝統的建造物の位置及び移転後の状態が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること。
(3) 伝統的建造物の除却については、除却後の状態が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること。
(4) 伝統的建造物以外の建築物その他の工作物の新築、増築若しくは改築又は修繕、模様替若しくは色彩の変更でその外観を変更することとなるものについては、それらの行為後の当該建築物の位置、規模、形態、意匠又は色彩が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。
(5) 前号の建築物その他の工作物の移転については、移転後の当該建築物その他の工作物の位置及び移転後の状態が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。
(6) 第4号の建築物その他の工作物の除却については、除却後の状態が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。
(8) 前各号に定めるほか、当該行為後の建築物その他の工作物又は土地の用途等が当該伝統的建造物群の保存又は当該保存地区の環境の維持に著しい支障を及ぼすおそれがないものであること。
(1) この章の規定又はこれに基づく処分に違反した者
(2) この章の規定又はこれに基づく処分に違反した工事の注文主若しくは請負人(請負工事の下請人を含む。)又は請負契約によらないで自らその工事をしている者若しくはした者
(3) 第29条第3項の規定により付した条件に違反している者
(4) 詐欺その他不正な手段により、第29条第1項の規定による許可を受けた者
2 市長及び教育委員会は、前項の規定により、処分をし、又は必要な措置をとることを命じようとするときは、あらかじめ、審議会の意見を聴き、かつ、当該処分又は措置を命ずべき者について、聴聞を行わなければならない。
(損失補償)
第34条 市は、第29条第1項の許可を受けることができなかったことにより、損失を受けた者に対しては、通常生ずべき損失を補償するものとする。
(罰則)
第35条 次の各号のいずれかに該当する者は、5万円以下の罰金に処する。
(1) 第29条第1項の規定に違反した者
(2) 第33条第1項の規定による命令に違反した者
第4章 市民の景観形成活動
(景観協定の締結)
第36条 一定の景観計画区域内の土地、建築物等の所有者その他権利を有する者は、良好な景観の形成を目的として、当該区域における景観形成に関し必要な事項について協定を締結することができる。
2 協定には、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 協定の名称及び協定事項
(2) 協定の対象となる区域
(3) 協定を締結した者の氏名及び住所(法人にあっては、その名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)
(4) 協定の有効期間
(5) 景観形成に必要な基準
(6) 協定の変更及び廃止の手続
(7) その他協定の対象となる区域の景観形成に関し必要な事項
(景観協定の認可)
第37条 景観協定の認可を受けようとする者は、規則で定めるところにより市長に申請しなければならない。
2 市長は、前条の規定により締結された協定が当該区域の景観形成に寄与すると認めるときは、これを景観協定として認可することができる。
第5章 表彰、助成等
(表彰)
第38条 市長は、良好な景観の形成に寄与していると認められる建築物、工作物その他の物件について、その所有者、設計者、施工者等を表彰することができる。
2 前項に定めるもののほか、市長は、景観まちづくりに貢献したと認める個人又は団体を表彰することができる。
(助成等)
第39条 市長は、景観重要建造物並びに重要景観樹木及び保存地区内における建築物その他工作物並びに環境物件の管理、修理、修景又は復旧について、良好な景観の形成に著しく寄与すると認める行為に対し、予算の範囲内において当該行為に要する経費の一部を助成することができる。
第6章 美馬市景観審議会
(美馬市景観審議会の設置)
第40条 市長は附属機関として、美馬市景観審議会を置く。
2 審議会は、市長又は教育委員会の諮問に応じ、本市の景観及び伝統的建造物群保存地区に関する基本的事項又は重要事項を調査審議するものとする。
3 審議会は、本市の景観及び伝統的建造物群保存地区に関する事項について、市長又は教育委員会に意見を述べることができる。
(組織及び運営)
第41条 審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
第7章 雑則
(委任)
第42条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則及び教育委員会規則で定める。
附則
(施行期日)
第1条 この条例は、公布の日から施行する。
(美馬市市街地景観条例の廃止)
第2条 美馬市市街地景観条例(平成17年美馬市条例第199号。以下「市街地景観条例」という。)は廃止する。
2 市街地景観条例第19条の規定により決定された伝統的建造物群保存地区は、第27条の規定により決定された伝統的建造物群保存地区とみなす。
3 市街地景観条例第20条第1項の規定により定められた保存計画は、第28条第1項に定められた保存計画とみなす。
(美馬市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)
第4条 美馬市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(平成17年美馬市条例第44号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略